Vlog DbDを見ながら見てきた芝居の感想を話してみる

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原作を担当したお芝居を見てきました

劇団モンスーン「Memory」

ワンシチュエーションのサスペンスミステリーという感じの芝居で、ほぼ僕の書いた原作から大きく逸脱していないのは好感が持てたと同時に、ものたりなさも感じる(わがままwww)

密室会話劇なので、どうしても言葉メインの説明セリフ芝居になってしまい、動きが足りない感じがした。厳密に言うと動きというより「ケレン味」である。

子供を殺された遺族たちが、裁判で無罪になった青年を拉致してくる。目的は自白をさせるため。しかし手違いで、青年の婚約者まで拉致してくる羽目になる。しかも青年は裁判後事故にあい記憶喪失となっており事件のことは全く覚えていない。それでも彼が犯人だと言い張る遺族たちと、彼を擁護する婚約者との会話攻防劇。

要約するとこんな話。入り組んだ人間関係と事件背景なので、それを説明しなきゃならないからどうしても説明セリフが多用されてしまう。それをリアルに見せようとするから、めちゃくちゃ盛り上がりのない芝居になってしまっていた。

一時期流行った「静かな演劇」の流れをくむ演出で、舞台上で徹底的にリアルを表現する方式だ。例えば、語りかけるべき相手が自分の後ろにいるなら、役者はちゃんとそっちを見て話すべきで、結果客に背を向けることになっても構わないという感じ。役者が他の役者と被っているというのも気にしない。だって現実はそんなこと考えて立ち位置決めないでしょという演出。

僕は一回だけこういう演出をしたことがある。客席が前と後ろにあってその間で芝居をした時だ。どっちが正面か決められないから、いっそ客席を意識しないでリアルに演じてもらったのだ。

結果、僕的には面白くなかった。

内容とか役者のせいではなく、ただ舞台としてケレン味がなかったのだ。

なので今僕は「反リアル」的な演出を心がけている。舞台上でどんなにリアルを追求したって所詮フィクションを演じている以上「嘘」なのだから、だったら思い切り見得を切って必要以上にオーバーアクションでやらせる。徹底的に客を意識する。さあ見てくださいと言わんばかりに動き回る。

今回はそういう芝居とは正反対だった。なので淡々と話が進む。照明も効果音もBGMもなし。たしかにリアルだけど、多分お客さんは引き込まれることなく、しかも一度では内容を把握するのは難しいだろう。

セリフの言葉も一辺倒でひねられた言葉使いがない。また長台詞ばかりでリズムがないから理解するのが至難。

「彼はやってない、なぜなら無罪だったから」「いや、やったに決まってる」その繰り返し。セリフの中にも「同じことの繰り返しだ」という自虐的な言葉も出てくる。

おそらくこの辺で、僕の描きたいテーマと脚本家のテーマの違いが出てしまったんだろうと思う。たしかに遺族たちの目的は「彼を自白させるため」ではあるが、もっと根本は「記憶をなくした人間に過去の罪を背負わせることが正しいのか」である。

遺族たちの中にその葛藤が生まれ悩む姿が僕なりの原作だったんだけど、本編ではそのへんはあまり語られない。ただ単に彼を追い詰めるだけの遺族になってしまっている。

お陰で登場人物たちが深くない。

追い詰めていたはずの遺族が逆に追い詰められ、復讐したかっただけなのに、復讐が本当に正しいことなのか悩む。そして実は自分たちこそが復讐されていたのだと

もっとお客さんへのメッセージや問いかけができる作品だったと思うんだけど、いかんせん誰にも感情移入できない感じになってしまったので、ただ単に遺族の拉致監禁事件のお話になってしまったのが原作者としてはもったいないなと思う。

役者さんはみな達者で雰囲気も良かったと思う。

僕はこういう話を書くときに「こういうの見たいな」って思うのは「人間の狂気」である。演劇という眼の前の生の舞台で、本当の狂気を見せられたらなんて恐ろしくも美しいのだろうと思う。

この芝居、僕が書いたらどうなるんだろう。まあ今回の劇団に失礼だから上演はしないけど、僕なりの脚本として残しておきたいなとは思う。

でも書いたらやりたくなっちゃうしね、やっぱやめとこ。他にもネタはたくさんあるwww

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