最後の7日間(2)

最後の7日間(2)

7月1日(金)

今日は午前五時に目が覚めた。早起きにも程があると思い苦笑しながら二度寝を試みるが寝られない。昨日の酒のせいかもしれない。身体の調子がいい時に飲む、ほどよい酒は熟睡をもたらすのだろう。

郵便受けから朝刊を抜き、布団の中で読む。隅から隅までたっぷり読んでようやく六時。起床時間だ。沙織の笑顔に癒され、ゆっくりと朝食を食べる朝の二時間が至福の時だと感じる。

そう言えばラッキーなことがあった。いつも通りの時間に家を出たのに、なぜか乗った電車がいつもより一本早かった。たった一本違うだけで、車内は比較的すいていた。新しい発見。来週からこの電車に乗ろう。

おかげで会社には一番乗りだった。少し遅れて総務の山田(注1)さんがやってきた。私を見て、早いですね、どうしたんですか?と聞いてくるのが少し可笑しい。すでに日課となった机の整頓とスケジュール確認を終わらせる。

午前中は得意先へ電話をかけ、来週のアポを取っていく。普段なら10件かければ午前中が終わるところ、今日は15件もかけられた。来週も忙しくなりそうだ。山下たちと昼食後、新規案件の打ち合わせ。午後四時から社内ミーティング。今週の営業報告と来週のスケジュール確認。15件のアポで上司から褒められる。いい気分だ。

ミーティングを早々に切り上げ、明後日の矢作製作所との草野球の話題となる。先発ピッチャーはウチのエース岡野(注2)に決まりだ。接待野球のエースとは、相手バッターの打ちやすい球を投げる技術があるということ。打たれ過ぎず、打たれなさ過ぎず、これがまたなかなか難しい。私はいつもの通りライトの八番、いわゆるライパチだ。

帰宅後、風呂に入り晩酌。夕食を取りながら、沙織の今週の報告を聞く。誰と友達になった、どの先生が好きだ、どんな遊びをしたかを逐一話してくる。言うなれば沙織との家内ミーティングといったところか(笑)

気になったのは沙織のしゃべり方が少しおっとりしてきたところだ。いつもはまくしたてるように話すのに、今日は一言一言がゆっくりだ。母親がおっとり型だから似てきたのかも知れない。

いつもの通りビール大瓶一本と日本酒一合をあけるが時間を見るとまだ午後十時。今日はピッチが早いと妻に言われる。そんなつもりはないのだが。

まあ時間に余裕ができるのはいいことだ。ほろ酔い気分でこの日記を書く。明日はショッピングセンターへ出かける。楽しみだ。

注1・・・サクラダノ同僚 女

注2・・・サクラダノ同僚 男

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