最後の7日間(1)

最後の7日間(1)

≪最重要機密報告書≫

『先ニ発見サレタ水成型惑星T-KG8542-14 (自ラハ タイヨウケイダイサンワクセイ「チキュウ」ト呼称)ニツイテ 新タナ発見ヲ報告ス コノ惑星ニ勃発シタ 非常ニ理解不能ナ現象ヲ解明スル第一級ノ重要書類トシテ 翻訳解析作業ガ待タレテイタモノデアル 特ニ重要ト考エラレテイタ 最後ノ七日間ヲ ココニ記ス』

6月31日(木)

 最近とみに朝が早い。今日も六時には目が覚めた。かといって寝足りないわけでもない。しっかり熟睡しての朝六時だ。気持ちがいい。六月も末になると、もうこの時間はすっかり空が明るい。

 今朝も妻(注1)と同時に目が覚めた。もう妻は私(注2)の早起きに驚かなくなった。少し遅れて娘(注3)の沙織が起きてくる。沙織も私の早起きに最初は目を丸くしていたが、今では可愛い笑顔を朝一番で私に向けてくる。小学校に入ってもう二か月だ。友達もずいぶん出来たらしい。この子のために長生きをしなければと思う。そのためにも、この早起きはきっといいに違いない。

 ゆっくりと朝刊に目を通して、テレビのニュースを見て、ネクタイの柄を気にする余裕もできて、早起きは本当にいいものだと思った。

 会社に出社しデスクの周りを整える。手帳を広げ今日のスケジュールを確認する作業も板についてきた。たった三十分早く出社するだけで、一日の作業効率が大きく変わる。どうしてもっと早くやらなかったのだろう。明日から山下(注4)も早く出社させようと思う。

午前中、山下と共にプレゼン書類の最終詰めを行い、午後矢作製作所へ持参する。矢作社長は私の最初の顧客でもう十年以上の付き合いだ。相変わらず大声で元気だ。今週末に予定しているわが社と矢作製作所の草野球の話題で盛り上がる。プレゼンも成功。あとは接待野球で来週には一千万円の契約となるだろう。

 帰社して雑務をこなし、退社後プレゼンの成功を祝って山下や久保田(注5)らと飲む。久々にいい酒を飲んだ。

 午後十一時に帰宅。沙織の寝顔を見てほっと一息。今日もお前のために頑張ったぞと思う。少し眠いがこの日記は書かずにはいられない。

注1・・・コノ文章主ノ同居人 女

注2・・・コノ文章主 サクラダトモキ本人 男

注3・・・サクラダトモキノ子孫 女

注4・・・サクラダノ部下 男

注5・・・サクラダノ部下 男

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